遺品整理から解体・売却まで:実家を片付ける順番
出典の確認日: 2026年10月9日
この記事の結論
実家を片付ける順番は「貴重品と書類を探す → 形見を分ける → 売れる物を売る → 残りを片付ける → 解体するか家ごと売るか」です。 物を売る・捨てる、家を壊す前に、相続人全員で確かめましょう。 壊すか売るか迷うなら、片付けを始める前に、解体の見積もりと、今のままでの買取の相談を両方取ります。
片付けを始める前に決めること
相続放棄を考えている場合は、物を売ったり捨てたり、家を壊したりする前に、段1の「相続放棄を考えている場合」を読んでください。
相続人全員で、誰が何を決めるか
親が亡くなったあと、実家の家や家財をどうするかは、相続人(家や財産を受け継ぐ人)どうしで決めることになります。
片付けを始める前に、次のことを話し合っておきましょう。
- 誰が、片付けや業者とのやりとりの窓口になるか
- 何を残し、何を売り、何を処分するか
- 片付けや解体の費用を、誰がどう出すか
- 家を残すか、壊すか、家ごと手放すか
離れて住む家族がいるときは、決めたことをメールや手紙で書き残しておくと、あとで確かめやすくなります。
実家じまいの流れを最初から見たいときは、実家じまい全体の手順をご覧ください。
家を残すか・壊すか・家ごと手放すかの見当をつける
片付けの量は、家の行き先で変わります。
- 家を残す(住む・貸す): 使う物は残し、要らない物だけを片付けます。
- 壊して土地で売る: 解体の前に、家の中を空けることになります。
- 今のまま家ごと手放す: 室内に物が残っていても相談できる、としている買取の会社があります[11]。片付けの量が減ることがあります。
行き先がまだ決まらなくても、見当だけつけておくと、どこまで片付けるかを決めやすくなります。
壊してから売るか、今のまま売るかで迷うときは、壊してから売るか迷うときを読んでください。
実家を片付ける5つの段
段1 貴重品と書類を探す
相続放棄を考えている場合: 遺品を処分することや、家を壊すことは、相続財産の処分に当たることがあります。相続放棄を考えている場合は、家や家財を売る・処分する前に、裁判所の案内か専門家に確かめてください。相続財産を処分すると、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条1号)[1][2]。
片付けの最初は、捨てずに探すことです。次の物は、見つけたら一か所にまとめておきます。
- 通帳、キャッシュカード、印鑑
- 家の権利証(登記済証や登記識別情報)、固定資産税の通知書
- 保険、年金、借り入れなどの契約の書類
- 遺言書
ごみ袋に入れる前に、引き出しや箱、封筒の中を確かめましょう。
遺言書が見つかったら
遺言書が見つかっても、その場で開けないでください。
裁判所は、遺言書を保管していた人か、見つけた相続人が、遅滞なく(間をおかずに)家庭裁判所に出して「検認」を受けるよう案内しています[3]。出す先は、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所です[3]。
ただし、公正証書の遺言と、法務局で保管されている自筆の遺言(遺言書情報証明書が出るもの)は、検認が要りません[3]。
封印のある遺言書は、家庭裁判所で、相続人などの立会いのもとで開けることになっています[3]。
段2 形見を分ける
誰が何を受け取るかを、相続人どうしで確かめてから分けます。
- 欲しい物を、それぞれが先に挙げておく
- 写真に撮って一覧にし、離れて住む家族とも見られるようにする
- 誰が何を受け取ったかを書き残しておく
値打ちのありそうな物を、誰かが先に持ち帰ると、話がこじれることがあります。分ける前に、相続人どうしで声をかけ合いましょう。
相続放棄を考えている場合は、形見を分ける前に、段1の「相続放棄を考えている場合」を読んでください。
段3 売れる物を先に売る
まだ使える家具や家電、着物、貴金属などは、片付けの前に売れるか確かめる方法があります。家に来て値段を見てもらう出張買取を使うと、運び出す物を減らせることがあります。
売る前に、相続人どうしで次の2つを決めておきましょう。
- 売ってよい物か
- 売ったお金をどう分けるか
売れる物の買取と、ごみの回収は別のものです。古物商の許可では、家庭のごみは回収できません[4]。
相続放棄を考えている場合は、物を売る前に、段1の「相続放棄を考えている場合」を読んでください。
相談先の例は、このページの「相談先」にあります。
段4 残りを片付ける
売れなかった物や、要らない物を片付けます。方法は大きく3つです。
- 市区町村の粗大ごみや、ごみの持ち込み施設を使う: 出し方や手数料は自治体で違います。家のある市区町村の案内を見てください。
- 遺品整理の業者に頼む: 遺品の仕分けを含めて頼める業者があります。
- 片付けの業者に頼む: 家の中の物の運び出しと処分を頼みます。
業者に頼むときは、家庭のごみを回収できる業者かを確かめます。環境省は、家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業」の許可か、市区町村の委託が必要だと案内しています[4]。くわしくは、注意点の「家庭のごみを業者に頼むときの許可の確かめ方」をご覧ください。
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4つは、家電リサイクル法の対象です[5]。家電リサイクル券を貼って家電の販売店に引き渡すか、市区町村の案内する方法で出します[5]。
業者の費用や選び方は、片付け業者の費用と選び方にまとめています。
段5 解体する・家ごと売る(解体の前の残置物の処分)
片付けが進んだら、家の行き先を決めます。
解体する場合
解体の前に、家に残った家財(残置物)をどうするかを決めます。方法は2つあります。
- 自分たちで片付けてから、解体を頼む
- 家財の処分も、解体業者にまとめて頼む
まとめて頼むときは、家財の処分を誰がするのかを聞きましょう。その業者に、家庭のごみを回収できる許可か、市区町村の委託があるかも確かめます[4]。
解体の見積もりで聞くことは、解体の見積もりで確かめることにまとめています。
家ごと売る場合
今の状態のまま買い取る会社には、室内に物が残っていても相談できる、としている会社があります[11]。受けられるかどうかは、会社ごと、家ごとに違います。
相談するときは、次の2つを聞いておきましょう。
- 家の中の物を、どこまで残したままでよいか
- 残った物の処分の費用を、誰が持つか
どちらにするかは、家の名義(相続登記)とあわせて、相続人どうしで決めます。
相続放棄を考えている場合は、家を壊したり物を処分したりする前に、段1の「相続放棄を考えている場合」を読んでください。
比べると
| 段 | 先に出すお金 | 相続人全員で確かめること | 手間 | 向いている事情 |
|---|---|---|---|---|
| 1 貴重品と書類を探す | なし | 相続放棄を考えている人がいないか(いれば、売る・処分する前に裁判所の案内か専門家へ)。遺言書が見つかったときの扱い | 家の中を探す時間 | どの家も最初にする |
| 2 形見を分ける | なし | 誰が何を受け取るか | 日程を合わせる | 相続人が2人以上いる |
| 3 売れる物を売る | 場合による(買取の条件は会社に確かめる) | 売ってよいか・売ったお金をどう分けるか | 査定の立ち会い | 片付けの量を減らしたい |
| 4 残りを片付ける | あり(自治体の手数料か業者の費用) | 業者に頼むか・費用を誰が出すか | 見積もり・立ち会い・ごみ出し | 家を壊す・売る前に中を空けたい |
| 5 解体する・家ごと売る | 解体はあり(解体費)/家ごと売る相談はなし(査定を無料とする会社がある。一部対象外の会社もある) | 壊すか売るか・名義(相続登記) | 見積もり・届出・登記 | 家の行き先を決める |
お金がかかる所
この記事では、金額を書いていません。片付け・遺品整理・解体の費用について、国や公的機関がまとめた相場が見つからなかったためです。金額は、見積もりで確かめてください。
片付け・解体・登記でかかるお金
- 片付け: 自治体の粗大ごみなどの手数料か、業者に頼む費用です。物の量や地域で変わります。
- 解体: 建物を取り壊す費用です。建物の大きさや造り、残った家財の量で変わります。
- 登記: 建物を壊したあとの「滅失の登記」は、自分で申請することも、土地家屋調査士などの専門家に頼むこともできます。頼むときは、その費用がかかります。
片付けの費用は片付け業者の費用と選び方、解体の費用は解体の見積もりで確かめることをご覧ください。
片付けや解体の補助は、市区町村の空き家の窓口で聞く
家財の片付けや解体に、補助を出している自治体があります。あるかどうか、条件、受付の時期は、自治体ごとに違います。
片付けや工事の契約の前に、家のある市区町村の空き家の窓口で聞いてください。
先に知っておきたい注意点
相続放棄を考えているとき
遺品を処分することや、家を壊すことは、相続財産の処分に当たることがあります。
相続放棄を考えている場合は、家や家財を売る・処分する前に、裁判所の案内か専門家に確かめてください。相続財産を処分すると、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条1号)[1][2]。
家庭のごみを業者に頼むときの許可の確かめ方
環境省は、家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業」の許可か、市区町村の委託が必要だと案内しています[4]。
「産業廃棄物処理業」の許可や「古物商」の許可では、家庭のごみは回収できません[4]。
業者に頼む前に、次の2つを聞きましょう。
- 家のある市区町村の「一般廃棄物処理業」の許可を持っているか
- 市区町村の委託を受けているか
わからないときは、家のある市区町村のごみの担当に聞いてください。
なお、売れる物の買取は、ごみの回収とは別のものです。
見積もりや契約で困ったら
見積もりと請求が食い違うなど、契約で困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話できます。近くの市区町村や都道府県の、消費生活の相談窓口を案内してもらえます[10]。
相談は無料ですが、相談窓口につながってからの通話料はかかります[10]。
解体するときの手続き
解体の届出(建設リサイクル法)
床面積の合計が80㎡以上の建物を解体するときは、工事を頼む人(発注者)が、工事に着手する7日前までに届け出ます[6]。
国のチラシでは、届出先は都道府県知事です[6]。市が受け付けている所もあります(静岡市の例)[7]。届出先は、家のある市区町村か都道府県で確かめてください。
書類を誰が用意するか、どこに出すかを、見積もりのときに業者に聞いておきましょう。
石綿(アスベスト)の事前調査の報告
解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の建物を解体するときは、石綿があってもなくても、事前調査の結果を報告します[8]。報告するのは元請業者(工事を直接請け負う業者)で、報告先は労働基準監督署と自治体です[8]。
事前調査そのものは、工事の大きさにかかわらず行うことになっています[8]。
調査と報告が見積もりに入っているかを、確かめましょう。
建物の滅失登記
建物を壊したら、建物がなくなったことを登記します。これを「滅失の登記」といいます。
建物の名義の人(表題部所有者か、所有権の登記名義人)は、壊した日から1か月以内に申請することになっています(不動産登記法57条)[9]。
名義が亡くなった親のままのときの進め方は、法務局で確かめてください。
相談先
紹介料のない相談先
- 市区町村のごみの担当: 粗大ごみの出し方、ごみの持ち込み施設、家電4品目の出し方を聞けます[5]。頼もうとしている業者が、家庭のごみを回収できるかどうかも聞いてみてください。
- 市区町村の空き家の窓口: 片付けや解体の補助があるか、受付の時期や条件を聞けます。窓口の名前は自治体で違います。わからないときは、役所の代表電話で「空き家の相談」と伝えて、担当の窓口を聞いてください。
- 法務局: 建物の滅失の登記や、相続登記の進め方を相談できます。
- 家庭裁判所: 遺言書の検認は裁判所の案内を、相続放棄は相続の放棄の案内を見てください[2][3]。
- 消費者ホットライン188: 見積もりや契約で困ったときに、近くの相談窓口を案内してもらえます。くわしくは消費者庁の案内をご覧ください[10]。
紹介料がない相談先でも、無料とは限りません。料金がかかるかどうかは、相談先で確かめてください。
このサイトが相談先をどう並べているかは、このサイトの約束に書いています。
出典・更新履歴
出典
- e-Gov 法令検索「民法」第921条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (確認日: 2026-10-09)
- 裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html (確認日: 2026-10-09)
- 裁判所「遺言書の検認」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html (確認日: 2026-10-09)
- 環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」 https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html (確認日: 2026-10-09)
- 環境省「いらなくなった家電製品は正しくリユース・リサイクル!」 https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tvrecycle.html (確認日: 2026-10-09)
- 国土交通省 チラシ「建設リサイクル法の対象となる建設工事では届出が必要です!」(PDF) https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d11pdf/recyclehou/todokede/todokede10.pdf (確認日: 2026-10-09)
- 静岡市「建設リサイクル法対象工事に関する届出方法」 https://www.city.shizuoka.lg.jp/s2574/s007762.html (確認日: 2026-10-09)
- 厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト「石綿事前調査結果報告システムについて」 https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/result-reporting-system/ (確認日: 2026-10-09)
- e-Gov 法令検索「不動産登記法」第57条 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 (確認日: 2026-10-09)
- 消費者庁「消費者ホットライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ (確認日: 2026-10-09)
- ラクウル 公式サイト(広告主) https://raku-uru.org/ (確認日: 2026-10-09)
更新履歴
- 2026-10-09: 公開前の原稿を作成
出典の確認日: 2026-10-09