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実家じまいの手順:何から、どの順番で、誰に頼むか

出典の確認日: 2026年10月9日

この記事の結論

実家じまいは、①家族で話し合う、②遺言と名義を確かめる、③家の値段を知る、④片付ける、⑤売る・貸す・解体を決める、の順に進めます。 片付けや売る話より先に、誰が決めるかと、家の名義をそろえましょう。 段ごとに頼む先が違います。段ごとの表で確かめてください。

あなたの事情での最初の一手を1分で確認

段1 家族で話し合う(誰が決めるか・残したい物)

最初に、家族で集まるか、連絡を取り合って、次のことを話します。

  • 誰が中心になって進めるか
  • 残したい物、形見として分けたい物があるか
  • 家を売るか、貸すか、残すかの考え(まだ決まっていなくてかまいません)

相続人と、名義の人を書き出す

家をどうするかを決めるのは、家の持ち主(名義の人)です。

親が亡くなっていて、名義が親のままなら、家を受け継ぐ人(相続人)どうしで考えをそろえることになります。

紙に、次の2つを書き出しておくと、話を進めやすくなります。

  • 相続人は誰か(兄弟姉妹など)
  • 家と土地の名義は誰か(確かめ方は段2)

考えが割れて話が進まないときは、弁護士に相談する方法もあります。弁護士会の法律相談センターや、法テラス(日本司法支援センター)に問い合わせられます[14][15]。名義の手続き(相続登記)は、司法書士に頼めます。

相続放棄を考えている人がいないか、先に確かめる

相続人の中に、相続放棄を考えている人がいないかを、片付けや売る話の前に確かめましょう。

相続放棄を考えている場合は、家や家財を売る・処分する前に、裁判所の案内か専門家に確かめてください。相続財産を処分すると、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条1号)[1][2]。

親が元気で、名義が親のとき

親が元気なうちに実家じまいを進めるなら、まず名義の本人である親の考えを確かめます。家をどうするかは、本人の考えが出発点です。

本人に考えを確かめるのが難しいときは、市区町村の高齢者の相談窓口(地域包括支援センター)に相談できます。法務省の成年後見制度の案内もあります[3]。

段2 遺言と名義を確かめる

法務局に遺言書が預けられているか

遺言書は、法務局に預けられていることがあります。

遺言を書いた人が亡くなっている場合、「遺言書保管事実証明書」を請求できます。相続人などが請求すると、その人に関係する遺言書が預けられているかがわかります[4]。

請求は、全国の遺言書保管所(法務局)でできます[4]。

家の中に遺言書が残っていることもあります。片付けを始める前に、探しておきましょう。

登記事項証明書で、家と土地の名義を確かめる

家と土地の持ち主の名前は、法務局の記録(登記)に載っています。

この記録の写しが「登記事項証明書」です。法務局で取れます[5]。

家と土地は、別々に登記されています。両方の名義を確かめてください。

名義が、亡くなった祖父母のままのこともあります。何代も名義を移していないと、相続人が増え、手続きに要る書類も多くなります[5]。

相続登記は義務になっている

2024年4月1日から、相続した家や土地の名義を移す手続き(相続登記)が義務になりました[6]。

  • 相続で取得したことを知った日から、3年以内に手続きをします[6]。
  • 2024年4月1日より前に相続した家や土地は、2027年3月31日までに手続きをします[6]。
  • 正当な理由なく手続きをしないと、10万円以下の過料(行政上のお金の罰)が科されることがあります[6]。

親の名義のままの家を売るときは、先に相続登記をして、相続した人の名義にしておく必要があります[6]。

相続登記には、登録免許税(登記にかかる税金)がかかります。税率は、家や土地の価額の1000分の4です[7]。

価額が100万円以下の土地は、2027年3月31日まで、個人が受ける相続登記の登録免許税がかかりません[7]。

手続きは、法務局で案内を受けられます。予約が要るかどうかは、法務局ごとに確かめてください。司法書士に頼むこともできます。その場合は、司法書士への報酬がかかります。

段3 家の値段を知る

売るかどうか決めていなくても、家の値段を知っておくと、家族で話し合う材料になります。

値段の聞き方は、2つあります。

  • 仲介: 不動産会社に、買い手を探してもらう売り方です。いくらで売れそうかを聞きます。
  • 買取: 会社が自分で家を買い取る売り方です。いくらで買い取るかを聞きます。

買い取りの値段と、時間をかけて買い手を探す場合の値段は違います。両方を聞いてから決めてもかまいません。

値段の見積もり(査定)を無料としている会社もあります。ただし「一部は対象外」と書いている会社もあります。

荷物が残ったままでも相談を受ける、としている会社もあります。受けられるかどうかは、会社ごと、家ごとに違います。

相談先の例は、このページの「相談先」にあります。

段4 片付ける(残す物 → 売れる物 → ごみ の順)

相続放棄を考えている場合は、物を片付ける・売る前に、段1「相続放棄を考えている人がいないか、先に確かめる」を読んでください。

片付けは、次の順に進めると、大事な物をまちがえて捨てにくくなります。

  1. 残す物・形見分けする物を分ける(通帳や権利書などの書類も、ここで探します)
  2. 売れる物を分ける
  3. 残った物を、ごみとして処分する

誰に頼むか

  • 片付け業者: 家の中の物の運び出しと処分を頼めます。
  • 出張買取: まだ使える家具や着物などを、家まで見に来て買い取る業者です。

環境省は、家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業」の許可か、市区町村の委託が必要だと案内しています[8]。

「産業廃棄物処理業」の許可や「古物商」の許可では、家庭のごみは回収できません[8]。

売れる物を買い取ってもらうことと、ごみを回収してもらうことは、別のことです。

業者の選び方は、片付けを業者に頼むときにまとめています。

費用は見積もりで確かめる

片付けの費用は、物の量や間取り、運び出しやすさなどで変わります。

国や公的機関がまとめた相場の数字は見つかりませんでした。そのため、この記事では金額を書いていません。

同じ条件で、複数の業者から見積もりを取って比べましょう。

実家じまいで、どこにお金がかかるかは、全部でいくらかかるかで順に見られます。

相談先の例は、このページの「相談先」にあります。

段5 売る・貸す・解体を決める

売る・貸す・持ち続けるを比べる

家の値段と、片付けの見積もりがそろったら、家をどうするかを決めます。

選び方は、売る・貸す・持ち続けるを比べるにまとめています。

解体する場合

建物を壊して、土地として売る方法もあります。解体の費用は、先に出すことになります。

壊す前に、解体の見積もりと、今のままで売る場合の査定を、両方取って比べましょう。

相続放棄を考えている場合は、壊す前に、段1の注意を読んでください。

国に土地を引き取ってもらう制度(相続土地国庫帰属制度)もあります。ただし、建物がある土地は申請できません[9]。

建物を壊しても、ほかの条件で引き取ってもらえないことがあります[9]。この制度を考えるなら、解体する前に法務局に相談してください。相談は、全国の法務局・地方法務局で受け付けています[9]。

建物を壊したあとの土地の税金がどう変わるかは、家のある市区町村の税の窓口で確かめてください。

売るときの税の特例には、期限がある

亡くなった人が住んでいた家を相続して売るとき、条件に合えば、税金が軽くなる特例があります[10]。

主な条件のうち、5つを挙げます[10]。

  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家であること
  • 売るときに耐震の基準を満たしているか、家を取り壊すこと(売った翌年2月15日までに、買った人が工事や取り壊しをする場合も含む)
  • 亡くなった人が1人で住んでいた家であること(亡くなる直前に、ほかに住んでいた人がいない)
  • 相続してから売るまでに、貸したり、住んだり、事業に使ったりしていないこと
  • 亡くなった日から3年たつ日がある年の、12月31日までに売ること。あわせて、2027年12月31日までに売ること

ほかにも条件があります。くわしくは国税庁の案内を見て、使えるかどうかは税理士か税務署に確かめてください[10]。

やってはいけないこと

名義を確かめずに、売る話を進める

名義が亡くなった親のままだと、そのままでは売れません。先に相続登記が要ります[6]。

値段を聞くのと並行して、段2の名義の確認を進めておきましょう。

相続人の一部だけで、家や家財を処分する

相続人みんなの考えがそろう前に、一部の人だけで家や家財を処分するのはやめましょう。あとで話し合いが進まなくなることがあります。

相続放棄を考えている人がいる場合は、段1の注意も読んでください。

片付け・解体・売却を、1社の見積もりだけで決める

1社だけでは、金額や作業の範囲を比べられません。同じ条件で、複数の会社から見積もりを取りましょう。

見積もりに何が入っているかを、項目ごとに比べてください。

契約や請求で困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます[11]。

その場で家を売る契約をする

国民生活センターは、消費者が自分の家を不動産業者に売った場合、クーリング・オフはできないと注意を呼びかけています[12]。

内容がよくわからないうちは、契約しないでください。家族や相談窓口に話してから決めましょう。

段ごとの表

段 先に出すお金 この段で誰に頼むか 手間 向いている事情(この段を先にする理由)
1. 家族で話し合う なし 相続人・名義の人(考えが割れたら弁護士。弁護士会・法テラス) 集まる・連絡を取る 相続人が2人以上いる、親が元気で名義が親
2. 遺言と名義の確認・相続登記 あり(相続登記の登録免許税は価額の1000分の4。価額100万円以下の土地は2027年3月31日まで免税。司法書士に頼むなら報酬) 法務局(手続きの案内・遺言書保管所)・司法書士 戸籍などの書類を集める・申請 名義が亡くなった親のまま、遺言があるか分からない
3. 家の値段を知る なし(査定は無料と書く会社もある。一部対象外の会社もある) 不動産会社(仲介・買取)・今のまま買い取る会社 問い合わせ・現地の確認の立ち会い 売るか決めていないが、話し合いの材料がほしい
4. 片付ける あり(見積もりで確かめる) 片付け業者・出張買取(ごみは許可か委託の業者) 仕分け・見積もり・立ち会い 仲介で売る・貸す前、荷物が多い
5. 売る・貸す・解体を決める 場合による(仲介の手数料は売れたときに払う。解体はあり。今のまま買取はなし) 不動産会社・解体業者・税務署や税理士(特例) 打ち合わせ・契約 値段と見積もりがそろった

どこに相談するか迷ったら

段ごとに相談先が違うので、どこに聞けばよいか迷うことがあります。

事情ごとの相談先は、事情別の相談先にまとめています。

相談先

紹介料のない相談先

  • 法務局: 相続登記の手続きの案内を受けられます。遺言書が預けられているかの請求(遺言書保管所)や、国に土地を引き取ってもらう制度の相談もできます[4][9]。
  • 司法書士会(司法書士総合相談センター): 日本司法書士会連合会によると、全国約150か所にあります[13]。相談の方法や費用は、地域のセンターごとに確かめてください。
  • 家庭裁判所: 相続放棄を考えているときは、裁判所の案内を見てください[2]。
  • 市区町村の空き家の窓口: 片付けや解体の補助があるか、空き家バンクに登録できるかを聞けます。窓口の名前は自治体で違います。わからないときは、役所の代表電話で「空き家の相談」と伝えて、担当の窓口を聞いてください。
  • 地域包括支援センター: 親が元気で、本人に考えを確かめるのが難しいときの相談先です。家のある市区町村の窓口で場所を聞けます。
  • 消費者ホットライン188: 片付けや売る契約で困ったときに、近くの相談窓口を案内してもらえます。くわしくは消費者庁の案内をご覧ください[11]。

このサイトが相談先をどう並べているかは、このサイトの約束に書いています。

出典・更新履歴

出典

  1. e-Gov 法令検索「民法」第921条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (確認日: 2026-10-09)
  2. 裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html (確認日: 2026-10-09)
  3. 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html (確認日: 2026-10-09)
  4. 札幌法務局「相続人等の手続き」 https://houmukyoku.moj.go.jp/sapporo/page000176_00002.html (確認日: 2026-10-09)
  5. 法務局「不動産の所有者が亡くなった」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudousan4.html (確認日: 2026-10-09)
  6. 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html (確認日: 2026-10-09)
  7. 国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm (確認日: 2026-10-09)
  8. 環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」 https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html (確認日: 2026-10-09)
  9. 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html (確認日: 2026-10-09)
  10. 国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm (確認日: 2026-10-09)
  11. 消費者庁「消費者ホットライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ (確認日: 2026-10-09)
  12. 国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」(2021年6月24日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210624_1.html (確認日: 2026-10-09)
  13. 日本司法書士会連合会「司法書士総合相談センター」 https://www.shiho-shoshi.or.jp/consulting/ (確認日: 2026-10-09)
  14. 日本弁護士連合会「法律相談」 https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice.html (確認日: 2026-10-09)
  15. 法テラス(日本司法支援センター) https://www.houterasu.or.jp/ (確認日: 2026-10-09)
  16. タウンライフ空き家解決 公式サイト(広告主) https://town-life.jp/land/akiya-solution/index.php (確認日: 2026-10-09)
  17. ラクウル 公式サイト(広告主) https://raku-uru.org/ (確認日: 2026-10-09)

更新履歴

  • 2026-10-09: 公開前の原稿を作成

出典の確認日: 2026-10-09