相続した実家、どうする? 売る・貸す・持ち続けるの比べ方
出典の確認日: 2026年10月8日
この記事の結論
売る・貸す・持ち続けるは、「使う予定」「かかるお金」「家族の考え」の3つで比べ、いつまでに決めるかを置きましょう。 持ち続けるなら、管理の手間と固定資産税が毎年続きます。 名義が亡くなった親のままなら、どれを選んでも、名義を移す手続き(相続登記)が要ります。
比べる前に確かめる3つ
家の名義が誰になっているか
家と土地の持ち主の名前は、法務局の記録(登記)に載っています。親が亡くなったあとも、名義が親のままになっていることがあります。
2024年4月1日から、相続した家や土地の名義を移す手続き(相続登記)が義務になりました[1]。
- 相続したことを知った日から、3年以内に手続きをします[1]。
- 2024年4月1日より前に相続した家や土地は、2027年3月31日までに手続きをします[1]。
- 正当な理由なく手続きをしないと、10万円以下の過料(行政上のお金の罰)が科されることがあります[1]。
売る・貸す・持ち続けるのどれを選んでも、この義務は変わりません。手続きのくわしいことは、法務省のページか司法書士に確かめてください。
誰かが使う予定があるか
家族の誰かが、住む・帰省のときに使う・物置にするなどの予定があるかを確かめます。
使う予定がはっきりしているなら、持ち続ける理由になります。
「いつか使うかもしれない」だけなら、いつまでに決めるかを家族で決めておくと、話が進みやすくなります。
相続した人どうしの考えがそろっているか
相続した人が何人かいると、売りたい人と残したい人で考えが分かれることがあります。
売るにも、貸すにも、相続した人どうしの話し合いが要ります。
考えが分かれているときは、兄弟で共有の実家を売るとき、最初に話し合うことをご覧ください。
相続した実家の選択肢
相続放棄を考えている場合は、家や家財を手放す前に、注意点「相続放棄を考えているとき」を読んでください。
不動産会社に買い手を探してもらう(仲介)
不動産会社に買い手を探してもらう売り方を「仲介」といいます。
不動産会社に払う手数料(仲介手数料)は、売買の契約がまとまったときに請求できるものとされています[6]。相談の段階で払うお金ではありません。
ふつうは、買い手に引き渡すまでに家の中を片付けます。どこまで片付けるかは、売る契約の中で決めます。
買い手が見つかるまで、時間がかかることもあります。
売ると決めたら、相続した家を売りたいとき、最初にやる順番をご覧ください。
今の状態のまま買い取ってもらう
不動産会社などに、家を直接買い取ってもらう売り方です。
値段の見積もり(査定)を無料としている会社があります。荷物が残っていても相談を受ける、としている会社もあります。
受けられるかどうかは、会社ごと、家ごとに違います。断られることもあると考えておきましょう。
買い取りの値段と、仲介で売る場合の値段は違います。両方を聞いてから決めてもかまいません。
人に貸す
家を人に貸して、家賃を受け取る方法です。家を手放さずに持っておけます。
ただし、貸す前に片付けや修理が要ることが多く、借りる人を探す手間もかかります。貸している間も、建物の修理などの管理が続きます。
相続したあとに人に貸すと、あとで売るときに、空き家の税の特例の条件から外れます[7]。 くわしくは注意点「売るときの税の特例」をご覧ください。
建物を取り壊して、土地として売る
建物が傷んでいて、土地なら買い手がつきそうなときの方法です。
解体の費用を先に出すことになります。金額は、建物の大きさや造り、地域で変わります。見積もりで確かめてください。解体に補助がある自治体もあります。市区町村の窓口で聞いてみましょう。
建物を壊したあとの土地の税金がどう変わるかは、市区町村の税の窓口で確かめてください。
費用の全体は、実家じまいの費用の全体像:片付け・解体・売却を順に見るにまとめています。
持ち続ける
使う予定があるときや、まだ決められないときの方法です。
持ち続ける間は、固定資産税が毎年かかります。見回り、草木の手入れ、窓を開けて風を通すなどの管理も続きます。遠くに住んでいると、通うための交通費と時間もかかります。
管理が行き届かないと、市区町村から指導や勧告を受けることがあります[2]。
- 2023年12月13日から、放っておくと危なくなるおそれのある空き家(管理不全空家等)にも、市区町村が指導や勧告をできるようになりました[2]。
- 勧告を受けると、土地の固定資産税を軽くする特例(住宅用地特例)が外れます[2]。
持ち続けるなら、「いつまで持つか」「誰が管理するか」「費用を誰が出すか」を、家族で決めておきましょう。
どれも難しいとき
空き家バンク
空き家バンクは、市区町村などが空き家を登録し、住みたい人や使いたい人に紹介するしくみです。
国土交通省のページから、全国の空き家バンクの情報をまとめたサイトに進めます。サイトはLIFULLとアットホームの2社が運営しています[3]。登録できる家の条件は、自治体ごとに違います。
国に土地を引き取ってもらう制度(相続土地国庫帰属制度)
相続などで受け継いだ土地を、国に引き取ってもらうよう申請できる制度です[4]。
ただし、建物がある土地は申請できません[4]。家が建っているなら、先に解体が要ります。
建物のほかにも、引き取ってもらえない土地の条件があります[4]。解体する前に、法務局に相談してください。
申請にも費用がかかります。
- 審査の手数料: 土地1筆(登記の上での1区画)あたり14,000円。申請のときに払い、返ってきません[4]。
- 負担金: 承認されたあとに払います[4]。宅地・田畑・雑種地などは、原則として面積にかかわらず20万円です。ただし、市街化区域や用途地域が指定された地域の宅地と田畑、農用地区域や土地改良事業の区域の田畑、森林は、面積に応じて決まります[11]。たとえば一部の市街地の宅地100㎡で約55万円です[5]。
相談は、全国の法務局・地方法務局で受け付けています。申請を考える段階では、土地のある都道府県の法務局・地方法務局(本局)への相談がすすめられています。土地が遠いときは、近くの法務局・地方法務局(本局)でも相談できます[4]。
比べると
| 選び方 | 先に出すお金 | 荷物はそのままでよいか | 手間 | 向いている事情 |
|---|---|---|---|---|
| 仲介で売る | なし(仲介手数料は売買の契約がまとまってから) | 引き渡しまでに片付けが要る | 査定・見学の対応・相続した人どうしの同意 | 買い手がつきそうで、時間をかけられる |
| 今のまま買い取り | なし(査定は無料の会社がある) | そのままで相談できる会社がある | 問い合わせ・現地の確認の立ち会い | 早く手放したい・遠くに住んでいる |
| 貸す | 場合による(片付け・修理の有無) | 先に片付けが要る | 借りる人探し・修理・管理 | 将来使うかもしれない |
| 解体して土地で売る | あり(解体費) | 先に片付けが要る | 解体の見積もり・立ち会い・売却 | 建物が傷み、土地なら買い手がつきそう |
| 持ち続ける | あり(固定資産税・管理の費用が毎年) | そのままでよい | 見回り・草木の手入れ・風通し | 使う予定がある・まだ決められない |
| 国に土地を引き取ってもらう制度 | あり(解体費+審査の手数料 土地1筆14,000円+負担金20万円〜) | 先に建物の解体が要る | 法務局への申請・審査 | 建物がなく、買い手も見つからない土地 |
国に土地を引き取ってもらう制度は、建物がある土地では申請できません。審査の手数料は、却下や不承認でも返ってきません。負担金は多くの土地で20万円で、一部の市街地の宅地と田畑、農用地区域などの田畑、森林は面積で決まります[4][5][11]。
先に知っておきたい注意点
相続放棄を考えているとき
相続放棄を考えている場合は、家や家財を売る・処分する前に、裁判所の案内か専門家に確かめてください。相続財産を処分すると、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条1号)[9][10]。
相続放棄の申し立てには期限があります。期限は裁判所の案内で確かめてください[10]。
売るときの税の特例は、売る時期や、相続のあとに貸す・住むかどうかで変わる
親が1人で住んでいた家を相続して売ると、条件に合えば、税金を軽くする特例を使えることがあります。国税庁のページでは「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」という名前です[7]。
この特例には、たとえば次のような条件があります[7]。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家であること
- 売るときに耐震の基準を満たしているか、家を取り壊すこと(売った翌年2月15日までに、買った人が工事や取り壊しをする場合も含む)
- 亡くなる直前に、亡くなった人のほかに、その家に住んでいた人がいないこと
- 相続のあと、売るまでの間に、人に貸したり、自分たちが住んだり、事業に使ったりしていないこと
- 亡くなった日から3年たつ日がある年の、12月31日までに売ること
- 2027年12月31日までに売ること
ほかにも、売る値段などの条件があります。つまり、売る時期だけでなく、相続のあとに貸すか、住むかでも、使えるかどうかが変わります。
貸す・住むを決める前に、使えるかどうかを税理士か税務署に確かめてください。売るときの順番と税のことは、相続した家を売りたいとき、最初にやる順番にまとめています。
相談先
紹介料のない相談先
- 市区町村の空き家の窓口: 空き家の管理の相談、空き家バンクへの登録、解体の補助があるかを聞けます。窓口の名前は自治体で違います。わからないときは、役所の代表電話で「空き家の相談」と伝えて、担当の窓口を聞いてください。
- 全国版空き家・空き地バンク: 国土交通省の案内ページから進めます[3]。
- 法務局: 相続登記の手続きがわからないときに相談できます[8]。国に土地を引き取ってもらう制度の相談は、全国の法務局・地方法務局で受け付けていて、申請を考える段階では、土地のある都道府県の本局がすすめられています(遠いときは、近くの本局でも相談できます)[4]。
このサイトが相談先をどう並べているかは、このサイトの約束に書いています。
出典・更新履歴
出典
- 法務省「相続登記の義務化」(特設ページ) https://www.moj.go.jp/MINJI/souzokutouki-gimuka/index.html (確認日: 2026-10-08)
- 国土交通省「『空家法』と『2023改正空家法』」(PDF) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001753652.pdf (確認日: 2026-10-08)
- 国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html (確認日: 2026-10-08)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html (確認日: 2026-10-08)
- 法務省「相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属させる制度の創設」(PDF) https://www.moj.go.jp/content/001376268.pdf (確認日: 2026-10-09)
- 不動産適正取引推進機構「不動産のQ&A」 https://www.retio.or.jp/info/qa/qa7/ (確認日: 2026-10-08)
- 国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm (確認日: 2026-10-08)
- 法務局「不動産の所有者が亡くなった」 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudousan4.html (確認日: 2026-10-08)
- e-Gov 法令検索「民法」第921条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (確認日: 2026-10-08)
- 裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html (確認日: 2026-10-08)
- 法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html (確認日: 2026-10-09)
- ラクウル 公式サイト(広告主) https://raku-uru.org/ (確認日: 2026-10-08)
- タウンライフ空き家解決 公式サイト(広告主) https://town-life.jp/land/akiya-solution/index.php (確認日: 2026-10-08)
更新履歴
- 2026-10-08: 公開前の原稿を作成
出典の確認日: 2026-10-08